文献抄録
モノクローナル抗体を用いたradioimmunoguided surgery
葛岡 真彦
1
1慶應義塾大学医学部外科
pp.541
発行日 1989年4月20日
Published Date 1989/4/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1407210339
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Radioimmunoguided surgery(RIGS)は術中に癌組織の存在を検出できる新しい技術である.術前に放射性同位元素でラベルされたモノクローナル抗体を担癌患者の静脈内に投与すると,抗体が腫瘍細胞膜あるいはその近傍に存在する抗原を認識し結合する.そこで,腫瘍組織に集積した放射能すなわちガンマ線量を,軽便なガンマ検知器により手術中に測定することができる.
今回,マウスIgGモノクローナル抗体B72.3を125Iでラベルしたものを使用したが,B72.3は消化器癌,卵巣癌,乳癌に対して高い抗原性を有することが知られている.本ガンマ検知器は放射線源からのガンマ線を検知し,単位時間あたりのカウント数と音声に変換し,カウントの増加に従って音程が上昇する.モノクローナル抗体B72.3の腫瘍集積性はin vivoで以下のごとく検討した.ヒト結腸癌株CX−1を移植したヌードマウスに,125IでラベルしたB72.3を腹腔内投与し,投与後21日間にわたり腫瘍,正常組織,血液中のガンマ線量を測定した.腫瘍・正常組織比,腫瘍・血液比は時間の経過とともに増加し,抗体投与21日後に各々50:1,13:1と最高値を示した.
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