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ボルフィリン試験
川上 由行
1
1信州大学病院中央検査部
pp.746-747
発行日 1987年5月1日
Published Date 1987/5/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1543204155
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Haemophilus属菌は通性嫌気性グラム陰性桿菌で,発育に際し,耐熱性のⅩ因子および易熱性のⅤ因子の両方もしくはいずれか一方を要求する1).このⅩ・Ⅴ因子要求性については,ディスク法による試験が広く普及している.しかし後述するように,ディスク法では誤って判定される頻度が高いので,Ⅹ因子要求性についてはポルフィリン試験2)による確認が必要となる.Haemophilus属菌は,デルタ・アミノレブリン酸から図1に示すポルフォビリノーゲン合成酵素,ウロポルフィリノーゲン合成酵素およびウロポルフィリノーゲン脱炭酸酵素などの酵素系によるヘミン生合成過程で,ポルフォビリノーゲンおよびポルフィリン体を生ずる.H. influenzaeはこれらの酵素系が欠如しているので,発育に際して培地中にヘミンの含有を必要とする.ヘミンは,チトクローム,チトクロームオキシダーゼ,カタラーゼおよびペルオキシダーゼなどの鉄イオンを含有する呼吸酵素の生合成に利用される.
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