増刊号 血液・尿以外の体液検査法
23 気道分泌液
D.微生物学的検査
川上 由行
1
1信州大学医学部附属病院中央検査部
pp.848-853
発行日 1990年5月15日
Published Date 1990/5/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1543900255
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気道分泌液の採取
1.気道分泌液とは
無菌的に採取された気道分泌液は,下気道由来分泌物が口腔経由で喀出された痰とは明確に区別される.
気道は上気道と下気道に大別され,前者は鼻腔から咽頭までを指し,感染好発部位は副鼻腔,鼻咽頭,口腔咽頭,扁桃である.一方,後者は気管から肺胞までの範囲を指す.気管と気管支は繊毛上皮と杯細胞で覆われ,さらに粘液とともにアミラーゼ,リゾチームなどを産生する気管(支)腺を有する.繊毛上皮表面を覆う粘液層は,杯細胞および気管(支)腺由来分泌液から成り,混入した微生物などを捕捉し,繊毛の規則的運動と協調して上行性に体外へ排出する.下気道由来分泌液や膿は咳嗽とともに気管支から気管を経て上部へと運搬されるので,喀出された痰は上気道常在菌で汚染されている.
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