臨床生理検査と技術 Ⅶ 呼吸機能検査
[3]呼吸機能検査法と判定基準
[B]努力性肺活量
河越 弘
1
,
小川 桂子
1
1東京大学医学部附属病院中央検査部
pp.611-616
発行日 1987年4月15日
Published Date 1987/4/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1543204121
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呼吸機能検査にはいくつもの種類があるが,術前検査を含め,臨床上もっとも頻繁に用いられている検査は努力性肺活量(forced vital capacity;FVC)の測定である.FVCはまた,呼吸器疾患のうち閉塞性肺疾患のスクリーニングに特に役だつ.
FVCは最大吸気後,できるだけ速やかに最大の努力で呼出させたときの肺活量(強制呼出量=forced expiratory volume:FEV)で,その計測には強性呼出曲線(forced expiratory curve=縦軸に呼出量,横軸に時間を目盛った曲線)を用いる.通常の肺活量(slow vital capacity)と努力性肺活量(FVC)は,前者が単に気量のみを測定しているのに対し,後者は単位時間内にどれだけの量を呼出できたかを測定している点が異なる.強制呼出曲線の各点における勾配は,その時点の気速を表しているので,フローボリューム曲線(FV曲線)と強制呼出曲線(時間-気量曲線)は,本質的には等価的なものである.ただし,強制呼出曲線からFV曲線を作図することは可能であるが,逆は不可能である(FV曲線では時間のスケールがないため).この意味では,強制呼出曲線のほうがFV曲線よりも情報量は大といえる.
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