臨床生理検査と技術 Ⅳ 超音波検査
[8]超音波断層法
2 臓器別走査部位と記録画像
④ 新生児頭部
丹生谷 徹
1
1春日部市立病院検査科
pp.523-526
発行日 1987年4月15日
Published Date 1987/4/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1543204092
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はじめに
頭部における超音波検査は比較的古くから実施されており,1950年ごろから反射法を応用したAモード法が行われていた.主に応用範囲として頭部外傷における頭蓋内出血の判定であり,mid lineの偏位の有無によって頭蓋内出血を間接的に診断する方法である.しかしながら技術的にも難しく,しかも客観的評価は乏しいものであった.またX線CTの出現により断層像で明瞭に頭蓋内を描出することができるようになったため,Aモード法は現在ではほとんど行われなくなった.
近年,超音波診断装置の技術開発は目覚ましく,エレクトロニクスの進歩や高周波数の振動子を使用することにより,鮮明な画像が得られるようになった.しかし成人では,頭蓋内エコーを得るには頭蓋骨の妨害により明瞭な画像を得ることは難しい.幸いなことに新生児期では大泉門が開いているため,大泉門から超音波を投入して頭蓋内を鮮明に描出することが可能である.また超音波は装置の小型化により可搬性に富み,保育器の中でも検査が行えるなどX線CTにはない利点も多くあり,新生児頭蓋内病変の検査としてCT検査とともに重要な検査法の一つとなっている.
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