臨床生理検査と技術 Ⅴ 脳波検査
[1]脳波検査の動向
原 常勝
1
1慶応義塾大学医学部精神神経科
pp.528-529
発行日 1987年4月15日
Published Date 1987/4/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1543204094
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脳波検査の役割と特性
Hans Bergerが1929年に初めて人間の脳波を発表してから半世紀以上になる.その間に,脳波検査技術の進歩,他の検査の発展につれて,脳波に期待できるものと,その限界についての考えかたはその時々で変わってきた.
現在のところ,脳波が人間という生体の状態をとらえるさまざまな検査の中で占める位置は,図のように考えられる.すなわち,脳という臓器の生理学的活動状況の一つの指標が脳波である.脳電気活動の部位差は見られるが,脳の構造上の変化が直接脳波に現れるのではない.心理現象が直接脳波所見になるのではなく,それを支える脳の活動が示されるのである.このことは脳波の限界でもあるが,どの検査にもその守備範囲があるのは当然であり,それゆえに複数の検査の総合が強調される.
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