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先天性代謝異常症の出生前診断の進歩
高田 五郎
1
1秋田大小児科
pp.394
発行日 1987年4月1日
Published Date 1987/4/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1543204059
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Mendelの法則に則ったヒトの遺伝性疾患は3000以上も知られ,病態代謝,異常酵素まで解明されたものは約400にもなる.現在治療可能な疾患はそのうちの一部で,ライソゾーム蓄積症をはじめ他の多くの疾患は適当な治療法がない.出生前診断は,これらの治療法がなく,予後のきわめて悪い疾患に対して行われ,不幸な子供の出生予防ないし正常児を無差別的中絶から守るのに役だっている.
胎児は羊膜に包まれた羊水中に浮かんでいる.羊水は胎児の皮膚,呼吸器,消化器,泌尿生殖器にて生成・吸収排泄されており,胎児由来の多くの酵素・代謝物を含んでいる.また,羊水中にはこれら胎児臓器や羊膜からの脱落細胞が浮遊しており,すべて胎児の遺伝情報を有している.ただ,羊水中の細胞は死細胞が多いため,診断に用いる少数の生細胞を培養して増やす必要がある.
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