病気のはなし
赤痢(細菌性およびアメーバ性)
増田 剛太
1
,
齋藤 誠
2
1東京都立駒込病院感染症科
2昭和大学医学部第一内科
pp.748-753
発行日 1986年6月1日
Published Date 1986/6/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1543203751
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
かつて,我が国で猛威を振るい,腸管系急性伝染病の王者として恐れられていた赤痢は,上下水道の整備をはじめとする社会環境の改善とともにその患者数が著しく減少した.厚生省の伝染病統計に患者数の年次推移を求めると,この傾向は明らかである(図1).すなわち,細菌性赤痢は1960(昭和35)年に年間患者数が9万人台であったが,その後急速に減少し,1970(昭和45)年に1万人以下となり,その後も減少を続け,1975(昭和50)年以降は年間1,000〜1,500人ぐらいに落ち着いている.
他方,アメーバ赤痢は細菌性赤痢に比べて,その届け出患者数が極めて少なく,1960年には160例であったが,その後しだいに減少し,1973年には年間わずか6例となった.しかし,1979年頃から増加に転じ,1984年には102例となった.
Copyright © 1986, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.