形態学的検査と技術 血液と病理
わだい
Human papilloma virus感染の細胞診
椎名 義雄
1
1杏林大・保健学部
pp.571
発行日 1986年4月15日
Published Date 1986/4/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1543203704
- 有料閲覧
- 文献概要
子宮頸癌は古くから処女(尼僧)に比べて既婚婦人に多く,特に多産・早婚・性交開始年齢が早いほど,またsexual partnerが多いほど発生頻度の高いことが知られている.さらに,前妻が子宮頸癌であった男性と結婚した女性に子宮頸癌の頻度が高いというKessler博士の報告からも,子宮頸癌はなんらかの物質がセックスにより男性から女性に伝播して起こることが考えられている.その主役として,現在最も注目されているのがHuman papilloma virus(HPV)である.
HPVはPapovavirus群に属するDNA型ウイルスで,ヒト(女性性器では腟前庭,陰唇,尿道口,子宮腟部など)に"いぼ(尖圭コンジローマ)"を形成するウイルスである.細胞診でこのHPV感染を診断することはKossらが名づけたkoilocytotic atypiaといわれる細胞の出現により可能である.
Copyright © 1986, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.