今月の臨床 婦人科外来検診マニュアル
D.ウイルス感染症
18.Human Papilloma Virusと発癌
滝沢 憲
1
1東京女子医科大学産婦人科
pp.427-428
発行日 1994年4月10日
Published Date 1994/4/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409901680
- 有料閲覧
- 文献概要
発癌リスクからみたHuman Papil—loma Virus(HPV)の亜型分類
HPVは小型の環状二本鎖DNAウイルスで,約8000塩基対を有する.一般に宿主,臓器そして組織特異性が強く,分化中の扁平上皮細胞でのみ増殖可能と言われている.
1982年頃から,southern blot hybridization法により,子宮頸癌組織中からHPV-DNAが抽出された.そして,HPV-DNAのcloningにより塩基配列が明らかにされると,塩基対の構成が互いに50%以上異なる新型のHPVが相次いで報告されるようになった,HPVは,その亜型ごとに人体のさまざまな場所から好きな部位を選び,特異的な皮膚・粘膜の増殖性病変を発現することがわかった.現在までに66型の亜型が知られているが,そのうち20亜型が肛門・泌尿生殖器に感染し,増殖性,発癌性の面からlow risk, intermediate,high riskの3群に分類されている(表).low risk群の6,11型は尖圭コンジローマを発現するし,high risk群の16,18型は子宮頸癌や陰茎癌の原因ウイルスとして有名であり,他の亜型は,最近,子宮頸癌や外陰・腟病変から分離・同定されたものである.
Copyright © 1994, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.