形態学的検査と技術 血液と病理
わだい
なぜ今、悪性リンパ腫か?
難波 紘二
1
1広島大総合科学部
pp.583
発行日 1986年4月15日
Published Date 1986/4/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1543203707
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最近,悪性リンパ腫が大きな注目を浴びているが,その理由として次のようなことが考えられると思われる.
第一に,この疾患は近年しだいに増加しつつある,ということである.かつては,大学病院のような大きな施設でも年間に数えるほどの症例しか見られなかったが,最近では年間に40例近くが一施設で診療されることも,それほどまれではない.もちろん患者の大施設への集中ということもあろうが,人口構成の老齢化,生活様式の西欧化といった変化がこれに寄与していると考えられる.筆者はかつて,日本人の悪性リンパ腫罹病率を年間人口10万人当たり5人と推定したが,最近では米国白人の12人という方向へしだいに近づいているのではないかと思う.
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