形態学的検査と技術 血液と病理
わだい
軟部腫瘍と癌の鑑別診断
向井 万起男
1
1慶応大病理学
pp.566
発行日 1986年4月15日
Published Date 1986/4/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1543203702
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軟部腫瘍は良性のものにしろ,悪性のものにしろ,多彩な組織像を呈するものが多く,鑑別診断に苦労することがしばしばある.治療法の選択と関連して,良性か悪性か,悪性のものであればそのタイプは何か,といったぐあいである.こうした鑑別の中で重要なものの一つに,軟部腫瘍と癌の鑑別がある.この鑑別を誤ると,治療方針を大きく誤り,ひいては患者の予後に与える影響は極めて大きなものとなる.
一見,軟部腫瘍と癌の鑑別が問題となることなどめったにないように思われがちであるが,とんでもないことである.このような例に遭遇することはむしろ多く,また,いいかえれば,軟部腫瘍の診断に際しては,まず癌でないことを確認することから始めなければならない.
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