マスターしよう検査技術
黄色ブドウ球菌のファージ型別法
井上 松久
1
,
大久保 豊司
1
1群馬大学医学部附属薬剤耐性菌実験施設
pp.1611-1615
発行日 1989年12月1日
Published Date 1989/12/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1543205281
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ファージ型別の背景と意義
黄色ブドウ菌球は,そのほとんどが溶原菌である.したがって,菌をマイトマイシンCや紫外線処理することにより,そこから活性あるファージ(プロファージ)の誘発が容易にできる.溶原菌に同種,類縁のファージを外から感染させても,免疫性があるため菌は溶菌しない、この溶原性を利用し,自然界から集めたファージを純化し,その宿主域や溶菌域を詳しく調べることにより,各ファージの群分けが可能となる.この群分けされたファージを型別ファージセットとし,現在4群23種の標準型別ファージ(表1)が用いられている.これらは黄色ブドウ球菌の由来や起源が同じか否かなど,疫学調査のために利用可能である.
なお,この型別ファージは,国際型別ファージ委員会本部から各国機関に送られており,わが国においてはわれわれの施設がそのセンターとして,各施設の要請に応じ分与を行っている.
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