技術講座 一般
尿中β2-ミクログロブリンの定量
金 衡仁
1
1東京共済病院内科・臨床検査科
pp.169-174
発行日 1985年2月1日
Published Date 1985/2/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1543203269
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測定の目的
β2-ミクログロブリン(以下,β2-mと略す)は分子量11,800の小分子蛋白で,100個のアミノ酸残基をもつ一本のポリペプチド鎖から成り,正常人の血液,尿,髄液中に微量含まれている1).β2-mは小分子蛋白であるので腎糸球体を容易に通過し,正常では尿細管でほとんど完全に再吸収され異化されるが,尿細管疾患ではその再吸収・異化が減少し,尿中に多量出現するため,糸球体障害(急性・慢性糸球体腎炎,ネフローゼ症候群,ループス腎炎など)と尿細管障害(慢性カドミウム中毒,Fanconi症候群,骨髄腫腎,痛風腎,シスチン尿症,急性尿細管壊死,Wilson病,ガラクトセミアなど)の鑑別診断に応用されている2,3).
さらに,血清β2-mは腎疾患において血清クレアチニン値と類似した動態を示し,相互に正の直線的相関が認められ,糸球体濾過値(GFR)の減少に伴いその血中濃度は上昇し,クレアチニン・クリアランス,イヌリン・クリアランス,PSP 15分値などと有意の相関関係が認められており,腎機能障害の程度を知る指標として臨床的に応用されている2,3).
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