特集 リポ蛋白・脂質代謝と臨床検査
3 脂質検査
8.胆汁酸
眞重 文子
1
Fumiko MASHIGE
1
1東京大学医学部附属病院中央検査部
pp.1316-1320
発行日 1985年11月1日
Published Date 1985/11/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1542917518
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はじめに
ヒト胆汁酸には,肝で生成される一次胆汁酸のコール酸(C)およびケノデオキシコール酸(CDC)と,これらが腸内細菌によって生じる二次胆汁酸のデオキシコール酸(DC)およびリトコール酸(LC)がある.そのほかに,CDCの立体異性体であるウルソデオキシコール酸(UDC)が少量存在する.さらに特異な疾患では胆汁酸の代謝経路に異常が起こり,異常胆汁酸が見いだされている.これらの胆汁酸は主にグリシン,タウリン(C−24位)抱合型,そのほか少量が硫酸(C−3位)抱合型として存在し,尿中では主に硫酸抱合型として存在している.人体試料中の胆汁酸は胆汁中ではきわめて高濃度(約5g/dl)に存在し,糞便中にもかなり排泄されている(約500mg/日)が,血液中では1μg/ml程度で尿中にもわずかしか排泄されていない(0.4mg以上/日).しかし肝疾患時には肝細胞による摂取を逃れて大循環の中に胆汁酸が逸脱し,血液および尿中胆汁酸は増加する1,2).
胆汁酸の測定法は現在までに種々の方法が報告されてきたが,現在用いられている方法は大別して①酵素法,②ガスクロマトグラフィー(GC)およびガスクロマトグラフィー.マススペクトロメトリー(GC-MS),③高速液体クロマトグラフィー(HPLC),④ラジォィムノアッセイ(RIA),エンザイムイムノアッセイ(EIA)の4法である.本稿では血清胆汁酸の測定を主に述べ,末尾に血清以外の生体試料について概略を述べる.
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