検査法の基礎理論 なぜこうなるの?
アビジン-ビオチン法とアビジン-ビオチン複合体法
埴岡 啓介
1
,
渡辺 信
2
1神戸大学医学部病理学第一講座
2神戸大学医療技術短期大学部
pp.499-503
発行日 1984年6月1日
Published Date 1984/6/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1543203056
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組織切片上である特定の物質を把握する方法として,蛍光色素や酵素を標識物質とし,抗原抗体反応やレクチンと糖の結合反応を利用した組織化学的手法が広く行われている.一般に目的とする物質は,固定液の化学作用や包埋過程での加熱などにより変性してしまうことが多いために,当初こうした方法の多くは新鮮凍結切片を使用した反応に限定されていた.
Sternbergerら1)(1969)によってPAP法(peroxidase-antiperoxidase complex method)が開発され,パラフィン包埋切片上にわずかに残存する抗原活性を増幅して可視化することが可能になって以来,日常的に使用されているホルマリン固定,パラフィン包埋切片でもかなりの種類の物質を検索することができるようになった.一方,Guedsonら2)(1979)は後に述べるアビジンとビオチンの強固な選択的結合性を組織化学に応用した手法を考案し,さらにHsuら3,4)(1981)がこれに改良を加えてアビジン-ビオチン複合体法(avidin-biotin-peroxidase complex method;ABC法)を開発し,その検出感度を飛躍的に向上させた.
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