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ビオチン関連物質
藤田 之彦
1
,
熊坂 一成
2
,
福井 徹
3
1日本大学医学部小児科
2日本大学医学部臨床検査医学
3(財)東京保健会病体生理研究所
pp.843-846
発行日 2002年9月1日
Published Date 2002/9/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1543906290
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■ビオチンとは
Boasらは動物実験により体重減少,皮膚炎,脱毛,やがて死にいたる卵白障害を発見しそれらを予防する因子が食物中に含まれることを示した1).1940年Gyorgyら2)は卵白に含まれる蛋白(アビジン)がビオチンと強固に結合することによりビオチンの消化管からの吸収を引き起こすことが卵白障害の本体であることを証明し,ビオチンはビタミンとして認識されるようになった.ビオチン(vitamin H,coenzyme R)は水溶性ビタミンの一種であり動物や植物に広く存在するが,哺乳類はビオチンの生合成ができないため,体外から摂取することになる.ビオチンの体内動態の特徴は,①食物中のビオチンの遊離と腸管吸収,②血中ビオチンの細胞内移行,③ビオチン酵素と細胞内動態,④ビオチンの再利用と排泄,に大別される3).ビオチンの体内動態を図1に示した3).ビオチンの吸収から排泄までの過程で中心的な役割を果たす酵素はビオチニダーゼとホロカルボキシラーゼ合成酵素である.ビオチニダーゼはビオシチン(biotinyllysin)やビオチニールペプチドからビオチンを遊離し,細胞への輸送蛋白として働く.
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