技術講座 生化学
血中アンモニアの測定法
奥田 清
1
,
小林 紀崇
1
,
森田 寛二
1
,
原 達雄
1
1大阪市立大学中央臨床検査部
pp.713-718
発行日 1983年8月1日
Published Date 1983/8/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1543202825
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血中アンモニアの由来については不明な点も多いが,次のように理解するのが妥当であろう.すなわち内因性(食餌中の蛋白,アミノ酸などから主として肝における脱アミノ反応によって生じる代謝性のもの)と外因性(腸内細菌によって生じ大部分は門脈を経て肝で処理される)の別があり,その濃度は内,外因性アンモニアの血中への流入速度(摂取蛋白量,脱アミノ反応,門脈副血行路の有無など)と流出(処理排泄)速度(血清蛋白合成,尿素合成,グルタミン合成など)の平衝関係により増減すると考えられる(図1)1).したがって臨床的には 1)重症肝障害:アンモニア処理機構の低下(尿素合成不全など),胃腸管出血によるアンモニアの腸管内生成,肝硬変にみられる肝外,肝内副血行路の発達による門脈血の大循環への直接移行 2)先天性尿素サイクル酵素欠損症 3)その他:過激な運動,ショック,アノキシアなどで増加する.特に肝疾患(肝昏睡の予知など)や先天性代謝異常のスクリーニング(尿素サイクル系酵素の欠損症)などはその意義が大きい.また肝不全における"肉中毒"が摂取蛋白量の増加によることも知られている.
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