技術講座 血液
線溶試験1—フィブリン平板法
松田 保
1
1東京都老人総合研究所臨床第二生理
pp.608-612
発行日 1983年7月1日
Published Date 1983/7/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1543202805
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止血と線溶
ヒトの血管は全身にくまなく分布しているが,もし外傷を受けたために血管が破れると,そのままでは血管の破れたところからとめどもなく血液が流れ出てしまい,失血のために死んでしまうことになる.このことは,生体防御という意味ではたいへん大きな問題であるが,これに対していくつかの防御手段が存在する.
その一つは,破れた血管が収縮して,そこには血液が循還してこないようにする作用である.ただし,この作用は長くは続かないので,血管の収縮がおこらなくなると再び出血がはじまるおそれがある.二番目の防御手段としては,血管の破れたところに血小板がくっつき,次にくっついた血小板の上にさらに別の血小板がつみ重なるようにしてくっついて,機械的に血管の破れをふさいでしまうという作用があげられる.前者が血小板の"粘着",後者が血小板の"凝集"と呼ばれる現象である.
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