新しいキットの紹介
フィブリン平板法の検討
桜川 信男
1
,
黒滝 栄子
2
,
織田島 弘子
2
,
一の瀬 安子
2
,
屋形 稔
3
1新潟大第1内科
2新潟大中央検査部(血液科)
3新潟大中央検査部
pp.980-984
発行日 1975年9月15日
Published Date 1975/9/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1542909096
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はじめに
生体内の血液はhemostatic balanceが保たれていて,常に流動性である.しかし,あるきっかけで凝固系が充進すれば凝固亢進状態から血栓症に移り,また逆に線溶系が亢進すれば線溶亢進性紫斑(fibrinolystic pur-pura)がみられる.また血管内凝固症候群(dissemina-ted intravascular coagulation syndrome;DIC)では"引き金物質"(trigger substance)が血中に流入して凝固系が活性化されてトロンビンが出現するが,線溶系も同時に活性化されるので,hemostatic balanceは著しく崩壊して出血症状も著明である.この場合はフィブリノゲンが著しく減少し,アンチトロンビン作用を示すフィブリン分解産物(fibrin degradation product;FDP)も増加している.かかる状態での線溶系活性測定に従来用いられているユーグロブリン溶解時間測定法(Euglo-bulin lysis time method)やSerial thrombin time(STT)は正確な成績を示さなくなり,フィブリノゲン量が100mg/dl以下になると信頼性がなくなる.
そこで検体自体のフィブリンを溶解させたり,凝固させたりする,いわゆる一段測定法ではなく,十分なフィブリンを補給して検体の線溶酵素活性を測定しようとする目的でフィブリン平板法が用いられる.
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