技術講座 生化学
サーベイ結果の読み方
中 甫
1
1千葉大学病院検査部
pp.29-33
発行日 1983年1月1日
Published Date 1983/1/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1543202666
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
精度管理には検査室内精度管理(internal qual-ity control)と検査室間精度管理(external quality control)があり,コントロールサーベイは後者の検査室間精度管理に属し,精度管理の一部である.すなわち2か所以上の検査室のデータを利用して行う精度管理手法と理解してよいであろう.このようなサーベイは,通常は行政機関,各種学会,職能団体などが,一定の目的および計画に基づいて実施している.
わが国では,規模の大きさからいうと日本医師会(参加施設数約2,000),日本臨床衛生検査技師会(参加施設数約1,000)で実施しているサーベイがもっとも大きい.その他日本臨床検査自動化学会,各種団体,同好会などによる種々の形式の小規模サーベイが数多くある.これらサーベイの現状をみると,一般にサーベイ主催者依存型で,参加者は自施設の結果をみて一喜一憂するパターンを繰り返していることが比較的多いようである.しかし最初に述べた意味からすると,サーベイの結果から自施設における問題点をみつけ,それを改善して日常検査の信頼度の向上と維持管理ができたとき,はじめてコントロールサーベイの目的が果たせるのである.そのためには,サーベイ結果を正しく読むことができなければならない.サーベイ主催者が通常行う結果の解析手法は,推計学的手法であることから,あくまでも推論であって確定的な結論ではないことも承知しておく必要がある.ここではサーベイ参加者が偏差の原因を究明するにはどうすればよいかを中心に解説するつもりである.
Copyright © 1983, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.