Japanese
English
特集 耳鼻咽喉科領域のアンチエイジング
聴覚
Auditory sense
菅原 一真
1
,
山下 裕司
1
Kazuma Sugahara
1
1山口大学大学院医学系研究科耳鼻咽喉科学分野
pp.541-544
発行日 2012年7月20日
Published Date 2012/7/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1411102234
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Ⅰ はじめに
日本人の平均寿命は徐々に延長し,最近のデータでは男性が79.59歳,女性86.44歳(厚生労働省,2009年)とされており,世界でも最も長寿の国とされている。平均寿命の延長に反して,出生率は低下しており,高齢者人口比率の高い高齢化社会が問題となる。一般的に加齢とともに聴力は低下し,老人性難聴と呼ばれている(図1)。老人性難聴の特徴として挙げられているのは,感音難聴であること,左右差はほとんどないこと,聴力像が高音漸傾型であること,語音聴力検査が比較的不良であることである1,2)。
老人性難聴は現時点では有効な治療法はなく,補聴器の装用によって聴覚を補償することになるが,語音明瞭度は低いことから,難聴の進行とともに患者のQOLが徐々に低下してくる。最近,脚光を浴びているアンチエイジング医学の手法が聴覚分野にも応用できれば,老人性難聴の予防方法について一定の見解が得られるのではないかと期待されている。本稿では,現在考えられている老人性難聴の原因と予防の可能性について,われわれの行っている研究を中心に紹介する。
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