技術講座 病理
パラフィン切片でのプロナーゼ処理蛍光抗体法
木崎 智彦
1
,
池内 ちよみ
1
,
浦野 順文
1
1神戸大学医学部病理学第1講座
pp.892-896
発行日 1982年10月1日
Published Date 1982/10/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1543202599
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組織切片で抗原や抗体の局在を証明する方法は,蛍光抗体法をはじめとして種々の方法が開発され,近年免疫組織学として発展してきた.これらの方法を応用して現在では研究室レベルだけでなく臨床医学の検査,診断にも深く用いられている.とりわけ,蛍光抗体法は技術的な確立とともに,蛍光顕微鏡の普及や良質な標識抗体の市販化によって誰もが手軽に利用できるようになった.
さて免疫組織学の基本は組織構築の保持と抗原性の残存であり,そのような条件下で薄切された組織片に局在する抗原物質を免疫学的手段によって証明することである.例えば,未固定凍結切片の場合,抗原性はほぼ100%残存しうるが,組織形態の保持の点ではずっと低下する.逆に組織形態を保持するために組織は固定されるが,この段階を通ることは組織内の抗原性を低下もしくは消失させ,免疫組織学をやるうえで致命的になる場合がある.そのためには抗原性の低下を最小限にするような固定条件を選択する必要がある.
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