技術講座 細菌
肺炎マイコプラズマの分離と同定
岡野 弘
1
,
杉 裕子
2
,
丸森 京子
2
,
松岡 ひろ子
2
1虎の門病院呼吸器科
2虎の門病院細菌検査室
pp.959-965
発行日 1981年12月1日
Published Date 1981/12/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1543202403
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人から分離されるMycoplasma(以下Mと略す)は現在,10種1)が知られている.すなわち,M. pneumoniae,M. salivarium,M. orale,M. buccale,M. faucium,M. primatum,M. lipophilum,M. fermentans,M. hominis,M. arthritidisであり,以前の種名や呼称が変わっているものがあるので注意を要する.このうち,現在明らかに人に病原性を持つMはM. pneumoniae肺炎マイコプラズマ2)(以下,M. pn. と略す)と考えられている.
M. pn. はEatonら3)が1944年に原発性異型肺炎(primary atypical pneumonia;PAP)で死亡した人の肺組織から分離した微生物であり,その後,Eaton agent,Eaton因子,Eaton PPLOと呼ばれ,1957年ごろまでウイルスの一種と考えられていた.その後,本微生物はLiu4)により螢光抗体法の応用から大部分の寒冷赤血球凝集素価上昇を持つPAPの病原体であることが確認され,さらに固型培地上にコロニーとして分離された(Chanockら,1962)5).以後,人を含めたMの研究の進歩は目ざましいものがある.以上のことから,以下M. pn. に絞って,その分離と同定につき述べてみたい.
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