今月の主題 炎症性肺疾患へのアプローチ
診断のポイントと治療
感染症
マイコプラズマ肺炎
水谷 裕迪
1
1関東逓信病院・医用情報研究所・第一研究部
pp.238-239
発行日 1988年2月10日
Published Date 1988/2/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402221523
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マイコプラズマ肺炎の病原であるMycoplas-ma Pneumoniae(以下M. P. と略)は,細菌と同様人工培地で増殖するが,表面は薄い細胞膜だけで,普通の細菌にみられる細胞壁を欠く微生物である.このため細胞壁の合成阻害を主作用とする抗生剤は無効,原形質に作用する抗生剤は有効で,これが治療上のポイントになっている.
M. P. の潜伏期間は一般的に15〜25日と考えられているが,これによって起こる病状は極めて多彩で,不顕性感染も多く,肺炎の発症は感染者の30人に1人位の割合と考えられている.また発病の場合は,肺炎,気管支炎,上気道炎が一般的であるが,ギランバレー症候群,髄膜脳炎,Stevens-Johnson症候群,その他,表1)のような種々の合併症を起こす場合もあることが知られている.
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