検査法の基礎理論 なぜこうなるの?
運動負荷試験の基礎理論
井川 幸雄
1
1東京慈恵会医科大学・臨床検査医学
pp.933-937
発行日 1981年12月1日
Published Date 1981/12/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1543202396
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
人間は他の動物と同じように,ある環境内で身体各部を動かすことで,種々の機械的仕事を実行している.これらは筋の収縮によって行われ,筋内に化学的に貯えられたエネルギーを機械的仕事に変換すること,呼吸循環系による酸素の補給,代謝産物の除去,処理などの過程からなる.
臨床医学は安静・定常状態の生体を基準にとり,検査データも早朝,空腹,安静といった状態でとられるのが長い間のしきたりであったし,治療の面でも安静の効用はしばしば説かれたが,運動についてはきわめて消極的にしか関与しなかった.しかし,近年,心臓病の予防,糖尿病・肥満の治療として身体運動の効果が強調され,臨床医も"安静のすすめ"のほかに,"運動の処方"ができることが要求されるようになった.
Copyright © 1981, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.