病気のはなし
マイコプラズマ肺炎
岡野 弘
1
,
瀬戸 幸子
2
,
滝沢 正子
3
1虎の門病院呼吸器科
2虎の門病院血清検査室
3虎の門病院細菌検査室
pp.726-732
発行日 1977年10月1日
Published Date 1977/10/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1543201461
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
ヒトが罹患するマイコプラズマ肺炎はヒトから分離されるマイコプラズマの一種であるMycoplasma pneumoniae(以下M. pn. と略す)の肺感染によって生ずる肺炎であり,従ってこの肺炎(本症と略す)は正しくはMycoplasma Pneumoniae pneumonia1)(マイコプラズマ・ニューモニエ肺炎,M. pn. 肺炎と略す)と記載されている.1898年Nocardらが,仔ウシの胸膜肺炎(Pleuropneumonia)の病原体を分離し,その後これに酷似した微生物がヒツジやヤギの乳汁閉塞の病原体として分離され,これらの微生物がPPLO(Pleuropneumonia-like organisrn;ウシ肺疫群微生物)と総称され,現在PPLOはMycoplasmaと呼ばれている.
マイコプラズマは大きさが125ないし150mμで細菌が過器を通過し,ウイルスの大きさであるが,無細胞の培地でも増殖するのでウイルスと異なり,マイコプラズマ用の固型培地上にルーペで認められるほどの微小なコロニーを形成する,細菌に属するが一般細菌の持つ細胞壁を欠き,細菌の中では特殊な位置にある.一方,本菌はペニシリン系,セファロスポリン系抗生物質に耐性を示:し,マクロライド系,テトラサイクリン系抗生物質などには感受性を示すので,本症の治療にあたり二の点を考慮することが大切である.
Copyright © 1977, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.