技術解説
マイコプラズマの分離と同定
小林 園子
1
,
帖佐 浩
2
,
本間 遜
3
1東京大学医科学研究所細菌研究部
2東京大学医科学研究所微生物株保存施設
3東京大学医科学研究所・細菌研究部
pp.931-940
発行日 1977年9月15日
Published Date 1977/9/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1542914468
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
伝染性牛肺疫は1713年に見出されて,欧州及び世界各地で流行がみられたが,1898年になってNocard and Rouxによって初めて病原体(Pleuropneumonia organisms:PPO)が分離培養された.この微小な細菌が現在のMycoplasmaであり,一般の細菌に比べて後述するように著しい特徴を備えていた,その後次々とこの種の病原体が獣疫からのみならず,下水からも分離され,Pleuropneumonia like organisms (PPLO)と命名された.最近になってこれらの微生物のうち,コレステロールの栄養要求性のあるものはMyco-Plasma,コレステロールの栄養要求性のないものはAcholeplasmaとされた.前者には,ヒト,動物に病原性のあるものが含まれ,後者には下水などから分離される非病原性のものが含まれている.
このMycoplasmaの研究の発展の途上で1935年Klienebergerはラットの咽喉に常在するStrepto-bacillus moniliformisが培地上でPPLOと同様の小さい集落を作ることを見出し,PPLOの汚染ではないかと考えた.ところが,Dienesはこれが一般の細菌のほとんどが環境に応じてとる生態としてのL-formであることを証明した.
Copyright © 1977, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.