検査法の基礎理論 なぜこうなるの?
ベンスジョンス蛋白の確認
青木 紀生
1
1社会保険中京病院臨床病理
pp.938-944
発行日 1981年12月1日
Published Date 1981/12/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1543202398
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ベンスジョンス蛋白とは
正常の蛋白であれば大きな変化を示さない程度の加熱あるいは冷却により,白濁,白濁沈殿,あるいはゲル化などの異常な変化を示す蛋白が血中あるいは尿中に出現することがあり,このような性状を有す異常蛋白をthermoproteinと総称している.このほとんどが免疫グロブリンの異常に関連して出現し,ベンスジョンス蛋白(Bence Jonesprotein;以下BJP),クリオグロブリン(cryoglobulin),パイログロブリン(pyroglobulin)などがある.
thermoproteinの代表はBJPで,この蛋白は50〜60℃に加熱すると白濁し,100℃で再溶解する二相性の熱凝固態度を示すため,長い間特有な熱固性を示す蛋白ということから定義づけられてきた.ところが蛋白質研究の進歩によりBJPが免疫グロブリンのL鎖が単一クローン性に産生されたM蛋白であり,また正常尿でも100倍以上に濃縮すると同じような熱凝固性を示す多クローン性の遊離L鎖(polyclonal free light chain)が存在することが明らかとなり,現在ではBJPは単一クローン性の遊離L鎖(monoclonal free lightchain)と定義されている.したがって,BJPを確認するためには,特異な熱凝固性だけでは不十分で,物理化学的特徴が証明されなければならず,①特異な熱凝固態度を示すこと,②M蛋白帯を形成すること,③L鎖のκかλのどちらか一方よりなること,④分子量が小さいこと,の四つの性状を立証する必要がある.
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