検査法の基礎理論 なぜこうなるの?
超生体染色
原島 三郎
1
1癌研究会癌研究所附属病院中央検査部
pp.123-129
発行日 1980年2月1日
Published Date 1980/2/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1543201992
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生体内に色素を投与して細胞を染色するのが生体染色であり,体外に取り出した細胞を生きた状態のまま染色するのが超生体染色である.これらの方法は生きている状態で細胞の構造,機能を観察できる特徴を有している.そして血液学の分野では生体染色よりも超生体染色のほうがよく利用されている.超生体染色に用いられている色素には,ブリリアントクレシル青,クリスタル紫,ブリリアント緑,インジゴカルミン,ニューメチレン青,ヤーヌス緑,中性赤,ライトグリーン,エオジンYなどがあり,螢光色素としてはアクリジンオレンジ,オーラミンなどがある.超生体染色に際して,色素がプラス荷電の場合は塩基性色素(ブリリアントクレシル青,インジゴカルミンなど)で細胞内のマイナス荷電物質(核酸,塩基性顆粒など)と結合し,マイナス荷電の場合は酸性色素(エオジン,ライトグリーンなど)で細胞内のプラス荷電物質(細胞質,好酸性顆粒など)と結合する.色素は細胞膜を通過または細胞内に取り込まれた後,細胞質,核,核小体の中の物質と色素との親和性の強弱により染色の程度に差を生じるし,メタクロマジー(異染性)の有無によっても色調に差異を生じてくる.
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