測定法の基礎理論 なぜこうなるの?
脈波速度の測定法とその臨床的有用性
吉村 正蔵
1
,
林 哲郎
1
,
長谷川 元治
2
1東京慈恵会医科大学第4内科
2東邦大学中央検査部
pp.465-469
発行日 1979年6月1日
Published Date 1979/6/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1543201854
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動脈硬化症を原因とする脳卒中,心臓発作は近年増加の一途をたどり,死因の最上位を占めている.これらの疾病の予防,治療のためには発症以前に潜在性動脈硬化を適確に診断することが極めて重要である.しかし,現在,これら主要臓器動脈硬化度を臨床的に定量診断することは不可能である.そこで,著者らは脈波伝播速度(以下,脈波速度,PWVと略す)を計測することにより生体の大動脈壁の硬化度を,非観血的,定量的に診断する大動脈脳波速度測定法を確立し,臨床応用してきた1).大動脈硬化は,脳動脈,冠動脈,腎動脈などの硬化に先行する5)ため,大動脈硬化度の定量はこれら臓器動脈硬化の予知手段として,臨床上の意義は大きい.以下,本稿では,PWV測定法の原理,検査法,血圧補正,病理学的裏付け,臨床例についての応用,そして最後に,より簡便に実施しうる新測定法についての検討を述べる.
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