測定法の基礎理論 なぜこうなるの?
血液型と植物性凝集素—レクチンの血球凝集作用における特異性
寺田 清
1
,
遠山 博
2
1丸善石油(株)技術開発部CD純薬室
2東京大学病院輸血部
pp.470-477
発行日 1979年6月1日
Published Date 1979/6/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1543201855
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植物由来の血球凝集素に関する研究は長い歴史を有しており,Stillmark(1888)1)によってヒマ(学術名;Ricinus communis,一般名;Caster bean)種子中に発見されたのに端を発するとされる.今世紀中ごろに至り,Renkonen2)やBoydら3)はこれらを血液型学的に詳細に検討し,血液型特異的凝集素の存在を明らかにした.その後,血液型決定基の研究にあるいは実用的な血液型の型判定に,このような植物性凝集素が広く利用されるようになってきた.
このような凝集素は植物由来であることから植物性凝集素(plant agglutinin)あるいは赤血球に対する凝集能力を有することからフィトヘマグルチニン(phytohaemagglutinin)とも言われていたが,Boydは"選び出す"というラテン語legereにちなみレクチン(lectin)という呼称を提唱した.今日では植物性凝集素やフィトヘマグルチニンなどと言うよりもレクチンという呼称のほうが一般的のようである.
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