技術講座 細菌
喀痰の一般細菌検査
西岡 きよ
1
1東北大学第1内科
pp.221-227
発行日 1979年3月1日
Published Date 1979/3/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1543201801
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呼吸器感染症の起炎菌を決定することは,適切な化学療法を施行するための第一段階として,極めて重要である.しかしながら,喀痰は気管支や肺病巣部で作られた痰が喀出される過程で,口腔内の常在菌による汚染を避けられないため,常に数種類の菌が培養され,どれが起炎菌であるかの推定がかなり困難となる.この点の解決のために多くの努力がなされ,その成果も報告されている.現在までの研究は材料採取法を種々検討し,常在菌の混入を極力避けて肺病巣より採取し,細菌学的検討を行う方法と,喀出痰を用い,培養の前処理や,接種方法を工夫することにより,この問題を解決しようとする方向の二とおりに分けられる.一般検査室においては,喀出痰を検体とする場合が最も多いと考えられるので,本稿では後者について,本邦において検討が行われている喀痰定量培養と,喀痰洗浄培養の具体的方法を紹介し,起炎菌推定など,問題点を私どもの経験を中心に解説していきたい.ただし,結核菌検索は喀痰の処理,培地など一般細菌とは全く異なるので,ここでは触れない.
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