測定法の基礎理論 なぜこうなるの?
血清膠質反応
畑下 敏行
1,2
1東邦大学
2大森病院中検第1部
pp.12-18
発行日 1979年1月1日
Published Date 1979/1/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1543201761
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
Heepe1)は,現在までに発表された血清膠質反応の数は,250以上に及ぶものがあると記しているが,今日,日常の検査に用いられているものは,それほど多くなく,また自動化することが困難なものが多いため,多忙な日常のルーチン検査から,はじき飛ばされてしまったのが現状のようである.しかし多くの研究者によって,臨床検査として極めて有用なものとして,築き上げられてきたこれら多くの血清膠質反応に関する知識は,もはやさほど重要ではないと考えることは間違っていると信ずるものである.血清膠質反応の中には,その成績が,ほかの検査成績からではほとんど得られない情報を与えてくれるものも多く,極めて有用なものであり,我々はそれらに対して正しい知識を持ったうえで,これらの検査の取捨選択を行うべきであると考えるものである.
血清中には多種の蛋白が含まれており,分子量,等電点などにおいて固有のものを持ち,単純蛋白あり,複合蛋白あり,配合簇としては,糖質あり,各種の脂質あり,またその量比も様々であり,その各々が多様な膠質安定性を持っている.あるものは膠質安定性が極あて高く,ほかに不安定なものの保護膠質として,全体的な安定状態の保持にも大いに役立っている蛋白や,逆にその病的増加によって全体的安定性を極度に低下させる蛋白など,種々なものの集合体である。しかし健康者の血清においては,十分な量の保護膠質の存在により,極めて高い膠質安定性を保持しており,各種の蛋白沈殿性薬剤に対しても,そう容易に沈殿や混濁を生じない状態を保っている.
Copyright © 1979, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.