最近の検査技術
ICGを用いた肝機能・循環機能検査—血流動態測定を中心として
永山 和男
1
,
横須賀 甫
1
,
堀口 正晴
1
1東京慈恵会医科大学第三分院内科
pp.633-640
発行日 1978年8月1日
Published Date 1978/8/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1543201675
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Indocyanin Green(以下ICGと略す)は1956年Brookerらにより開発され,Foxらにより初めて臨床検査に応用された色素である1).この色素は水に易溶性で,生食溶液中では光学的に多少不安定であるが,血中に入ると直ちにアルブミンと結合し,光学的に安定な状態となる.投与10分後には約90%が血中より消失し,また酸化及び還元型ヘモグロビンの比率による較正を必要としないisobestic pointの吸光度を有するために心拍出量測定などの際の指示薬希釈曲線の描出に理想的な色素である.一方,血中のICGは選択的に肝細胞のみにて摂取され胆汁中に排泄される.また腸肝循環もなく,腎よりの排泄もないために肝の異物排泄機能をみる色素として,更に肝血流量測定のインジケーターとしても有用であり,現在ICGは広く臨床に用いられるようになってきた.以下ICGを用いた循環動態検査法の理論的根拠を簡単に示すとともに,現在一番頻用されている血中消失率測定の具体的手技,問題点などについて,特に教室で実施しているイヤーピース法による早期血中消失率の測定法をも含めて述べてみたい.
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