文豪と死
武者小路実篤
長谷川 泉
1
1医学書院
pp.502
発行日 1978年6月1日
Published Date 1978/6/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1543201642
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武者小路実篤(1885〜1976)は,志賀直哉や有島武郎とともに白樺派の代表作家であった.白樺派の作家は概して長命であったが,武者小路も92歳という長寿であった.白樺派は自然主義が人間の尊厳を否定して,現実暴露,ありのままの卑小な人間を描くことで時には人間をおとしめたのに対して,人道主義的な立場で人間の価値を高める役割を果たした.ヒューマニズムの立場は自我の尊重につながり,時には強烈な個性を主張することにもなった.
白樺派のなかで,理論的な指導者の立場に立ったのは武者小路と有島武郎であった.この二人は小説の実作だけでなく,理論家として多くの評論を残している.また白樺派のなかでは最も社会性を持ち,行動派でもあった.
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