技術講座 細菌
Vibrioの分離と同定
島田 俊雄
1
1国立予防衛生研究所細菌第一部
pp.475-479
発行日 1978年6月1日
Published Date 1978/6/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1543201635
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Vibrioには多くの海水細菌も含まれるが,医学に関係のあるものはVibrio cholerae(コレラ菌とその類縁菌)とV. parahaemolyticus(腸炎ビブリオ)である.前者はコレラの原因菌であり,後者は食中毒原因菌の一つである.
V. choleraeの学名は一般的にはコレラ菌のそれに当てはめているが,現在の分類学ではコレラ菌と同様な生化学的性状を持ち,しばしばコレラ様下痢から分離される,いわゆるNAG(non-agglutinable)ビブリオまたはNCV(non-cholera vibrio)もこれに含まれる.したがって,V. choleraeはすべて血清型によって区別され,コレラ菌は血清型1に該当する.コレラ菌のO抗原は3種類の部分抗原からなり,それらの量的相違によって,小川,稲葉及び彦島型に分けられる.また,該菌には溶血性のあるものとないものがあり,前者は特にエルトール生物型と呼ばれる.
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