マスターしよう基本操作
病理標本の薄切
鈴木 裕
1
,
小坂 光代
1
1慶応義塾大学病理学教室
pp.153-160
発行日 1978年2月1日
Published Date 1978/2/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1543201563
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病理組織標本の作製には,パラフィン包埋組織切片を使用するのが最も一般的な方法である.その標本作製過程,すなわち固定,脱水,包埋,薄切,染色の各過程は固有の重要性を有し標本の良し悪しに種々の影響を与える.そのなかでも,教える側から,また教わる側からみて,なかなか難しくその習得に時間を要するのは薄切操作である.
この薄切に使用するミクロトームには,ユング型(滑走式)とミノー型(回転式)があるが一般にユング型が広く使われている.薄切操作上の難易から言えば,ミノー型は簡単であるが,種々の薄切条件(大型組織,組織硬軟など)に対する応用範囲は,前者のほうがはるかに広い.それだけに個々の条件下における適確な薄切技術を身につけることが大変重要となってくるのであり,この技術に習熟してしまえば標本作製技術の大半は終了したと思ってもよい.
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