1ページの知識 病理
薄切
和田 昭
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1大阪府立成人病センター病理検査科
pp.689
発行日 1970年7月15日
Published Date 1970/7/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1542906845
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1.本削り
荒削りから本削りに移るには,薄切用のメスと取り替えるか,あるいは同じメスでも荒削りに用いなかった部分を使用するかするが,必ず切り始める前にもう一度組織片の面合わせをしておかねばならない.薄切片の厚さは3-5μぐらいが適当である.左手で微動装置の柄をもち右手でメスの固定台の取手をもつ.メスは平均した力で手元に引くのがよく,特に刃がブロックにかかったあとは途中で止めないことがたいせつである.止めると薄切片に波ができてきわめてみにくい標本となる.また,手に力がはいってメスを上から押さえつけるようにして切ると切片に段が生じたり,厚さの異なった切片になったりする.適当な厚さに切れた切片は花びらのようにメスから浮き上がってくるが,少し厚い場合には彎曲し,厚すぎると巻物のように固く巻いてしまう.
薄切片をシャーレに浮かべるには,刃にくっついた切片を筆・針または紙片をもって拾うが,この場合強くメスのほうへ押しつけないで,ぬれた穂先をそっと切片につけるのがよい.しわができていたり,少し巻いているものは筆できれいに伸ばしてやるようにする.切片を浮かべるときには裏と表をまちがえてうかべないようにしないと,たとえば脊髄のようなものだと病巣が全く左右あべこべになってしまい,混乱をきたすので注意が必要である.
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