技術講座 病理
組織標本の作り方・6—鍍銀染色
山本 悦子
1
1国立病院医療センター臨床検査科
pp.841-843
発行日 1977年11月1日
Published Date 1977/11/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1543201495
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1.細網線維染色
結合織の中の細網線維と膠原線維とを区別するために普通行われているのは渡辺,PAPやBielshowskyなどの鍍銀法である.鍍銀法では膠原線維は淡赤紫色に染まり,黒色に染色される線維は細網線維,格子線維,好銀線維などと呼ばれる.銀粒子が細網線維に親和性のある性質を利用したものである.
細網(好銀)線維は細網性結合組織内や脂肪組織の細胞を取り囲む上皮と結合織,筋肉と結合織,毛細管内皮と結合織などの境界部にある基底膜であり,大変緻密な線維で細網状〜格子状に配列している.細網線維はまた膠原線維と重なり合うように分布しているが,その境界は必ずしもはっきりしているわけではない.膠原線維の末端はしばしば細分化して,細い細網線維に移行する.細網線維のあるものはやがて膠原線維になっていくものと考えられる.脾,リンパ節,骨髄などの構成はこの細網組織であり,細網細胞の多くの細胞性突起が細網線維となり網状に絡みあっている.腫瘍の鑑別には欠かせない染色法の一つである.
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