技術講座 一般
胃液検査法
坂野 重子
1
1社会保険中央総合病院臨床検査部
pp.844-850
発行日 1977年11月1日
Published Date 1977/11/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1543201497
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胃液は健常者においても,胃本来の分泌物である塩酸,ペプシン,粘液などのほかに,胃壁から剥離した細胞や漏出した血液成分,それに飲み込まれた唾液,鼻汁,喀痰成分,逆流した胆汁,膵液,腸液などが多少にかかわらず混在する.そして病的な状態にあっては,これらの成分が増減するだけではなく,特に低酸に加えて胃の排泄機能が低下するような時には,食物の胃内における消化,発酵,腐敗による二次的産物が加わり,胃液の組成は複雑多様に変化する.
胃液検査は通常,胃分泌機能検査を目的に胃酸度測定を行うことを指すが,前述の事情から,胃前後の関連臓器疾患の情報源として,例えば肺の癌細胞,結核菌,寄生虫卵の検索などにも利用される.
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