Senior Course 病理
—新しい病理組織標本の作り方—染色 Ⅲ
平山 章
1
1東京女子医大中検病理部
pp.1024-1025
発行日 1975年9月15日
Published Date 1975/9/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1542909111
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染色色素の性質について
新しい染色法を文献に基づいて染色する時,あるいは日常ルーチンで行っている染色法を行っている時でも,思うような染色効果が得られず,その原因が分からない場合がよくある.こうした場合,前号に述べたような手技について十分注意してもやはり思ったような結果が得られずとまどってしまう場合が多い.
我々が日常使用している染色色素について,色素製造業者も,また,病理学者や病理組織技師もあまりにも無関心すぎないだろうか.例えばDr. R. D. LillieはHistopathologic Technic and Practical Histochemistry(3rd Ed.)の中で,色素を購入する場合はColor IndexNumber(C.I. No.)を明確にしておくことが大切であると述べている.彼の著書をみると色々な染色法について述べる場合必ずその染色法に使用する染色色素のC.I. No. と色素製造会社名を明記している.ところが,他の病理組織技術の本や新しい染色法を紹介した文献などをみるとほとんどがこうした基本的条件を明記してないかあるいは無関心であることが多い.こうした基本的なことが無視されているため多くの病理学者や病理組織技師はいたずらに染色法を名人芸的なものと受け取り,無駄なしかも全く意味のないことに労力を費やさなければならない破目に陥いっていることがしばしばある.
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