研究
胎盤性LAPの諸性質—基質および緩衝液の差による他臓器LAPとの判定について
竹下 栄子
1
,
菅野 剛史
1
,
佐々木 章子
2
1慶大病院中検
2中外製薬研究所
pp.521-523
発行日 1975年5月15日
Published Date 1975/5/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1542908973
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緒言
血清中Leucine aminopeptidase (LAP)についてはGoldbergら1)が膵胆道系疾患での上昇に注目して以来Al-Pとともに肝外,肝内の胆汁停滞などの判別に用いられてきた.
一方,このLAPの測定法については,Leucineamide(LA)を基質とする方法2),L-leucyl-β-naphthylamide(LβNA)を基質とする方法1),L-leucyl-p-nitroanilide(LPNA)を基質とする方法3)などが報告されている.そしてLβNAを基質とする方法がone point assayとして最もよく普及しているが,初速度解析を行う測定法としては生成物のβ-naphthylamineのモル吸光係数が小さく日常分析には多少難点がある4).またLPNAを用いる方法は生成物p-nitroanilideのモル吸光係数も大きく,初速度解析には現在では最も望ましく,その点から利用される頻度が増加している.しかし,LAPのような血清中での多様性を示す酵素は奥田ら2)の報告するごとく,由来臓器またはその多様性によって基質に対する態度が異なるので臨床評価上はこの点を十分に考慮する必要がある.
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