実習日誌
今後の方向を決定づけた実習
今井 令子
1,2
1大阪府立病院中検
2大阪府立公衆衛生学院
pp.547
発行日 1977年7月1日
Published Date 1977/7/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1543201413
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院内実習は2年生の7月より始まり3月の終わりまでの6か月間にわたって基礎実習が行われました.中でも私の興味を引いたのは寄生虫学でした.いろいろな虫卵や衛生害虫などを実際に見ることができたということは喜ぶべきことだと思います.実習においてはそれぞれの虫卵を,ホルマリン固定してあるものをまず見てスケッチなどを行い,形態を覚え,次に実際の糞便(これは犬の便であったように思いますが)を用いてAMSⅢ法,MGL法,浮遊法などについて行いました.初めて見る虫卵は私にとっては非常にめずらしく思えました.また横川吸虫や肝吸虫のような小さな虫卵が,最初は糞便中のごみと区別がつかなくて困ったのをよく覚えています.
それから何よりも私に強い印象を与えたのは犬の解剖でした.人間ではできませんので犬を解剖して,どのあたりにどのような寄生虫がいるのか興味を引きました.健康な犬でも腸内には条虫,鞭虫,回虫,特に小腸を開いていくと腸壁についている条虫が多いのに驚きました.心臓にはフィラリアがいると聞いていましたが,実際には見ることができなかったのが少し残念な点です.しかしこのような実習は実社会に出てはもうできないことだと思いますし,人間の糞便においても寄生虫は見られなくなってきていますので,非常によい経験となったように思います.
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