実習日誌
病院実習で学んだこと
塚本 隆
1,2
1杏林短大衛生技術科
2和歌山県立医大病院
pp.463
発行日 1976年6月1日
Published Date 1976/6/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1543201086
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私たちの病院実習は,昨年の9月11日から11月29日までのわずか2か月半の期間であった.しかし,我が杏林短大としては,開学以来初めての学外実習である.私は病院実習を行うに当たって失敗を恐れないことにしよう,学生らしく謙虚な気持ちでぶつかっていこうという一つの心構えを立てた.こうして不安だらけの病院実習が始まったのである,期間が短いために全部の検査室を回れなかったのは,今だに残念でならない.しかし,この短い期間ではあったが,学校では味わうことのできない事柄について経験し,考えさせられたことは大きな成果であった.
まず病院実習で感じたことは,検査室の空気の"きびしさ"であった.これは扱うことの一つ一つが,実際の患者の生死に直接ひびいてくるからなのであろう.今までの学内における実習では,失敗しても何回もやり直しができたし,また検査の原理や試薬などを覚えることに精一杯で,患者のことまで考えることはほとんどなかったというのが実状である.そのために病院のそういった雰囲気に慣れるまでは,身も心も疲れ切ってしまって,重い足を引きずるようにして帰途につく毎日であった.それぞれの検査室で学んだことを述べてみたいと思う.
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