測定法の基礎理論 なぜこうなるの?
心電図記録の軌跡・1—生体電気の確認手段
本橋 均
1
1結核予防会総合検診センター
pp.257-260
発行日 1976年4月1日
Published Date 1976/4/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1543201028
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動物体が電気を発することを最初に発見し,物理学者Voltaとの間に,10数年にわたる論争を展開,これを実実としたのは,イタリアのGalvaniである.Galvaniの実験に用いられたカエルの脚は,Matteucci,Du Bois-Reymondらによって生物電気の実験に用いられ,多くの業績の原動力となった.電流の磁気作用の発見によって,検流装置はカエルの脚から電気計に進歩したが,まだ電気の存在を示す域を出なかった.G. Lippmannの毛管電気計は,電気的変化を写真図形として提示しうる点で画期的な方法であるが,記録歪みが大きいため,変化の真を示すことはできなかった.オランダの生理学者W. Einthovenは,絶大な努力の末絃検流計を発明,この時点で初めて心臓の示す電気現象の如実な記録が可能となり,心電図記録は今日的な姿で世に行われることとなった.増幅装置の進歩,記録の簡単化,直記直読装置の開発と続く記録法の進歩によって,少しの後退を示すことなく今日に及んでいる.
本稿では心活動電圧記録の進歩の軌跡を,"装置"という観点から追ってゆきたい.
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