測定法の基礎理論 なぜこうなるの?
心電図記録の軌跡・6—ベクトル心電図法
本橋 均
1
1結核予防会総合検診センター
pp.653-656
発行日 1976年9月1日
Published Date 1976/9/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1543201149
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ベクトル心電図法は,通常用いられる心電図法,すなわち記録を,直角座標を用いてx軸に時間をとって描き出す方法と違って,2つの現象のLissajous図形として描く方法である.Lissajous図形というのは,互いに垂直な方向の2つの単振動の合成運動の経路を表す図形のことを言うが,ベクトル心電図の場合は単振動の代わりにそれぞれ心活動電圧を用いる.W.Einthovenの正三角模型に出発するこの方法は,多くの学者の研究と検討を経た末に,現在のような手法に落ち着いた.ただ誘導点の選び方によって違った図形を得るので,臨床的に用いてゆくうえで多くの問題点を残している.
物理学で大いさ,方向,向きによって定まる量をベクトル(vector)と名づけ,大いさ,方向を示す半直線を引き,ベクトルの向きに従って矢をつけ,例えば半直線をOAとすれば,OA→はそのベクトルである.ベクトル心電図法では,このベクトルの変化を時間的に連続して1つの点を軸として描き出す.描出にはブラウン管を用いる.
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