測定法の基礎理論 なぜこうなるの?
心電図記録の軌跡・3—電極について
本橋 均
1
1結核予防会総合検診センター
pp.421-424
発行日 1976年6月1日
Published Date 1976/6/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1543201075
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いま我々は,無意識的に心電計付属の電極にペーストを塗り,これを被検者の手首,足首あるいは胸部に接着して,心電図を記録する.そして立派な記録を得ている.電極接着の生理学的理論については,恐らくだれも考えてみはしないであろう.しかし今日の状態に至るまでには,およそ100年あるいはそれ以上の長い年間がかかり,しかもその一部はいまだによく解明されていないと知ったら,多くの人々は記録波形について,その"真実性"について強い不安を持つに違いない.
Du Bois-ReymondがUntersuchung der thierischen Elektrizitatの第2巻第2部を著したのは1884年であるが,その末尾120ページをさいて,分極性及び不分極電極について詳細に論じている.今日生理学で生体電気の研究を行う場合には,彼の名を冠した不分極電極及びその改良型を用いるところから分かるとおり,この部分の研究は古くて新しい多くの課題をもっている.
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