測定法の基礎理論 なぜこうなるの?
病理組織及び細胞標本の染色機構・1—染まるには理由がある
山田 喬
1
1独協医大病理
pp.253-256
発行日 1976年4月1日
Published Date 1976/4/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1543201027
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今世紀の初頭,数多く開発された血球染色法のうち,ギムザ先生の調合した染色液(ギムザ液)が最も美しくそして合目的的であったので,現在まで残り伝えられ,慣用されているごとく,組織や細胞の染色法の多くは理論的に見いだされたものでない.むしろ経験的に染色色素は見いだされ,選択されてきたという事実は多くの人人のよく知るところであろう.それゆえ"組織,細胞はなぜ染まるか"という質問に対しては,"このように説明すれば最も理解しやすい"という答えが多くの場合妥当である.逆にゆるぎない論理と,一部の隙間もない実証により組み立てられた染色理論を展開することは何人も不可能であるとも言えよう.そこでいくつかの事実の縦糸と,限られた論理の横糸により染色機構なる布地を織りあげるしかない.この事実をご了解いただいてから表題にふさわしい話に移りたい.
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