基礎から応用へ
統計学的思考・8
土肥 一郎
1
1中央鉄道病院内科
pp.29-30
発行日 1976年1月1日
Published Date 1976/1/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1543200963
- 有料閲覧
- 文献概要
1.2つの平均値の比較
前号の男についての血糖値20例について
同様に女については170を棄却した19例について
このようにして求められたX̄とӯとが偶然誤差によるバラツキを越えるだけの差があるかどうかを検定しようと考える.この,男女血糖値の比較の場合,男の20人と女の19人(女も20人を選んであったが,170という値は大き過ぎるという理由で捨てられた)には,x1x2とか,y1,y2とかのような番号がつけられているが,同じ番号どうし,例えばx1とy1,x2とy2との間に横のつながりは何もなく,x1とx2との番号を取り替えても両群の差の検定には何の変わりもない.このような両群の平均値の差の検定を"対応のない場合"と言う.これに対してある薬を使った前後で血圧を測った場合,前後で差があるかどうかを検定するようなものは,それぞれが一対になっていて入れ替えがきかないから,"対応のある場合"となる.
"対応のない場合"には,まず両群の不偏分散に有意の食い違いがあるかどうかを検定して差がないことを確かめてから,平均値の差の検定に進むことになる.さきに示した計算式により,を求めこの比をFとする,ただしこの場合大きいほうの不偏分散を分子にとる.
Copyright © 1976, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.